春の夜に月がほのかに霞む情景。
霞は夜になると「朧(おぼろ)」と名称がかわります。
これは、夜の『ろ霞』を意味します。新たに設置された月見台は、月を眺め観測する場であると同時に、そこに暮らす動物や虫達、植物、水、風、それらの声を聞く場になります。古来より月は、鑑賞の対象と共に、月から頂く豊穣や、女性の豊かさ、死生観にも通じていました。
ろ霞菜園『朧月夜』は現代に忘れつつある月のリズムを意識した農法を取り入れる事により、人だけでなく、目に見えない物も含め、全ての生き物に幸が訪れる空間となります。
【ろ霞自然菜園】
従来の平坦な菜園とは違い、周辺の地形や、水の流れ、土地の状態を読み取り、地形を形成しています。 工法は昔の土木技術*を取り入れています。排水の滞る場所であった畑を、土地を掘り下げ水の流れを作り、出た残土を盛り土にする。土止めは山の手入れで出た枝葉を利用しています。これにより、様々な植生の植物が生育できる事になります。野菜や花は福岡正信氏の考案の粘土団子*を用い、果樹は土地に馴染むように苗木から育て、桜や柳などの樹木はそれぞれの植生に合わせた場所に配置しました。造成や植栽、園路のデザインは庭の演出技術*を取り入れ歩く楽しさや、期待感を演出。後に風景と一体となっていく構成にしています。果樹園であり、庭であり、自然であり、様々な植物の中であらゆる生き物が一緒に生活していく場所になります。
昔の土木技術*
有機物を使った土木技術。地域にある自然の素材を用いる事で、土地の循環を生み出し、それが土地独自の風景となっていきます。
粘土団子*
わら一本の革命の著者[福岡正氏]考案の粘土団子を『ろ霞』の菜園で実践。沢山の野菜や花の種を粘土に混ぜて練り、丸めて乾燥させた物。粘土団子は人だけでなく、それ以外の生き物の生きる場所をつくる事も出来ます。粘土団子は土の状態や気温の変化を感じ、自然のタイミングで発芽し、自生する草と共に成長していきます。
庭の演出技術*
山や川の形や、木々の成長のストーリー、動物の動きなど、自然に逆らわず、自然の素材を生かした技術を用いています。人が自然で感じた様々な感動を表現します。