FEATUREDアーティスト
例えば、庭園に佇む白のオブジェ「Ether#80(名和晃平氏作)」やバーの壁面を飾る品川亮氏の「四季花鳥図」など、ろ霞には新進気鋭のアーティストによる作品がそこかしこに点在しています。
ろ霞は、世界へ放つカルチャー発信拠点として、半年に一度選抜した若手アーティストが、宿泊棟の全11室に描き下ろした作品を展示販売する「Featuredアーティスト」というプログラムを行っています。
定期的に新作11点を発表する場を設けることで、国内の若手アーティストの支援となり、世界中からアートを愛する人々が集い、語り合う豊かな時がさらに新しい何かを紡ぎ出す。そんな場所でありたいと願っています。
- Vol. 07
- たかくらかずき
東洋の思想とデジタルテクノロジーから生み出される独自の世界観
アーティストコメント
プロフィール
アーティスト /1987 年生まれ。東京造形大学大学院修士課程修了。ビデオゲームとピクセルアート、VR、NFT、AI などのデジタル表現を使用し、仏教などの東洋思想による現代美術のルール書き換え、デジタルデータの新たな価値追求、キャラクターバリエーションの美学をテーマに作品を制作している。主な展示に、現在 GINZA SIX エントランス展示「ハイパーマン・バン・ゴ・オー (2025)」、BUG での企画 / 展示「キャラクター・マトリクス (2024)」、山梨県立美術館での個展「メカリアル (2023)」。そのほか足利市立美術館、SusHi Tech Square、NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、台北での個展、NY やメキシコでの展示など。 2025 年に山梨県立美術館に作品収蔵。2025 年に OpenAI『sora select TOKYO』ノミネート。現在、美術手帖オンラインプレミアムにて「現代美術とヴィデオゲーム」論連載中。
客室作品一覧
Room No.1
Room No.2
Room No.3
Room No.5
Room No.6
Room No.7
Room No.8_1
Room No.8_2
Room No.9
Room No.10
Room No.11
Room No.12
アーカイブ
館内コレクション


名和晃平
1975年生まれ。彫刻家/Sandwich Inc.主宰/京都術大学教授。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着 目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、2002年に情報化時代を象徴する「PixCell」 を発表。それ以降、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知 覚体験を次々に生み出してきた。2018年にフランス・ルーヴル美術館ピラミッド内にて彫刻作品「Throne」を特別展示。

山本捷平
1994年、神奈川県生まれ。2019年京都芸術大学大学院修了。同年、アートアワードトーキョー丸の 内2019、フランス大使館賞を受賞。美術史などを参照とした伝統的な「記号」や「サイン」をモチー フとし、自作のローラーを用いてキャンバス上でアナログの反復を繰り返すという独自のアプローチ で絵画を制作。主な個展に「Re:Reiterate」(アンスティチュ・フランセ東京、2020)など。




山田康平
1997年、大阪生まれ。2020年武蔵野美術大学油絵学科卒業。同年、京都芸術大学修士課程入学。 主な受賞歴に「CAF賞2020」入選、「FACE2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展」入選など。主 な個展に「線の入り方」(Mtk comtemporary art(.S店舗内)/京都岡崎蔦屋書店ギャラリース ペース、2022)、「road」(代官山ヒルサイドテラス アネックス A、2021)、「のぼり、おりる」(ギャ ラリー美の舎、2020)などがある。

横田大輔
1983年、埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。2013年、アムステルダムのUnseen Photo Fairにおいて「The Outset Unseen Exhibition Fund」初受賞者となり、翌年2014年にFoam写真 美術館にて個展を開催。2016年にはPaul Huf Award、さらに2019年には木村伊兵衛賞を受賞す るなど国内外で高い注目を集める。主な展覧会に「Photographs」(rin art association、2021)
「SHAPE OF LIGHT」(Tate Modern、2018)など。



茂田真史
1985年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻陶芸修了。千葉県柏市に工房を構え、陶芸作家として活動する。2006年平山郁夫賞受賞、2011年菊池ビエンナーレ(入選)。大手 百貨店をはじめとして数多くの展覧会を行う。近年の主な展覧会に「素材之花 -春への兆し-」
(アートフロントギャラリー、2021)、個展「茂田真史 陶芸展 ‒CRYSTALLIZE-」(そごう千葉 店、2018)など。

品川亮
1987年、大阪生まれ。京都を拠点として日本画を学びながら、イタリアやスイスなど海外でも研修を 行い、伝統的な日本絵画に現代絵画のエッセンスを取り入れた作品を発表する。日本、ソウル、台 北などアジアを中心に、バーゼルやニューヨークで作品を発表。タイガー魔法瓶や下鴨茶寮、翠嵐ラ グジュアリーコレクションホテル京都などコミッションワークにも数多く携わっている。
ろ霞
ART PROJECT
アートプロデューサーご挨拶
瀬戸内芸術祭により、世界に知られるアートの島「直島」で 、若手アーティストの作品と出会える、おもてなしの旅館が誕生。それが伝統を現代に活かした「直島旅館 ろ霞」である。オープンとともに、「ろ霞 ART PROJECT」をスタートさせる。そのミッションは、今後、世界では活躍する才能を発掘、育成し販売する体制を、中長期的に継続してつくり上げていくことだ。そのファーストステップとして、庭、ラウンジやレストランなどの館内を、コレクショ ンの作品展示の場とするとともに、11からなる客室では、若手アーティストを選抜した展覧会が年2回から4回開催される。コレクションは、2018年にパリのルーブル美術館ピラミッド内で巨大彫刻を発表し、世界の注目を集める名和晃平、コンテンポラリー・ペインティングの若手の旗手・品川亮、山本捷平、山田康平、そして木村伊兵衛賞受賞作家である写真家・横田大輔 が並ぶ。また、2022年4月から約半年間を第一回の期間として、11の宿泊の部屋をギャラリーに、 人気画家・品川亮による新作シリーズ「新古今和歌集十二選」を公開。宿泊者を優先として、オンラインで作品のセールスも行う。このように今後も継続的に若手アーティストによるセレクション展を開催するとともに、ろ霞 ART PROJECTは、アーティスト・イン・レジデンス やギャラリーなどの新設など、直島の新たなアートの魅力を生み出すことを計画中、ご期待下さい。

アートプロデューサー
後藤繁雄 氏
プロフィール
大阪府生まれ。編集者、クリエイティブディレクター、アートプロデューサー、京都芸術大学教授。「独特編集」をモットーに、坂本龍一、細野晴臣、篠山紀信、蜷川実花、名和晃平等のアートブック、写真集も数多く手掛ける。また自ら主宰するG/P+abpをプラットフォームとして、150を超す展覧会をキュレーションしてきた。
直近のプロデュースの仕事として、GINZA SIXにおける名和晃平の巨大なインスタレーション「Metamorphosis Garden」のアートプロデュースがある。また、京都芸大大学院GOTOラボ、SUPER SCHOOL online「A&E(ART & EDIT)」を主宰。
現代では生まれ年のキャラクターとしてよく知られている十二支ですが、古くから日本では年だけではなく四季や月、時間、方位に至るまで、あらゆる時間と空間の象徴であり、時間と空間が分断される前の重要な指標でもありました。十二支は陰陽五行から誕生し、中国大陸から日本へ渡り神道や仏教の文化と混ざり合いながら、長らく親しまれているキャラクターですが、その根底には自然豊かな四季の移り変わりの感覚を図るための東洋の智慧が隠されています。そういった感覚を十二のキャラクターから、デジタルテクノロジーを用いて再度現代にインストールするために、今回のシリーズを制作しました。